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2歳男児がタワマンの25階から転落し死亡!両親不在?手すりを登った?事故を招いた3つの理由

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立地や設備・サービスの良さ、高額な家賃等から勝ち組の象徴ともいわれるタワーマンション。

そんな庶民の憧れであるはずの場所で、悲しい事故が起きてしまいました。

男児はなぜ25階もの高さから転落してしまったのか?詳しく調べてみました。

48階建てタワマンの25階から2歳男児が転落!死亡事故の原因となった3つの理由を詳しく調べてみた

タワーマンションと青空バスに置き去り、川に足をとられ…ここ数か月、残念なことに子どもの命が失われる事故は後を立ちません。

もう二度と起きてほしくないと思った束の間、また悲惨な事故が起きてしまいました。

わずか2歳の男の子が、なぜ25階もの高さから転落してしまったのでしょうか。

事故の経緯

2022年11月2日午後2時15分ころ、事件は千葉県にあるタワーマンションで起きました。

わずか2歳の男の子がタワーマンションの25階から転落、同マンションの1階エントランス上の屋根の上で発見されたんです。

事件当初は「3歳」と多くのメディアで報道されていましたが、後に「2歳」と訂正されています。

発見時、男児は意識・呼吸ともになく、近隣住民の119番通報によって速やかに救急搬送されました。しかし、午後4時に死亡を確認。

 

誰が見ても一目で「高い」と感じる場所から、なぜ2歳の男の子が転落してしまったのでしょうか。

2歳男児はなぜ転落したのか?不幸にも重なった3つの理由

事故が起きたマンションは千葉県美浜市若葉3丁目にある「幕張ベイパーク スカイグランドタワー」。2020年11月竣工、翌年3月に入居開始したばかりの分譲マンションです。

地上48階、総戸数826戸、高さ172.4mの大規模マンションで、スカイビューラウンジやキッズルームなども完備されています。

最寄りのJR海浜幕張駅から徒歩13分ほどで、近くに海や川もあり、自然の多い景観にすぐれた住みやすい地域なようです。子育てにも向いている環境だったのでしょうね。

 

転落死した2歳男児とその家族は、当該マンションの25階に住んでいました。

2歳男児は25階にある自宅のベランダの手すりを自力で越え、1階エントランス上屋根まで転落したと見られています。

 

しかし、人によっては一目で足がすくむような高さのはず。なぜ2歳男児は転落してしまったのか?

その原因は、主に3つ考えられています。

  1. ベランダにつながる窓が開いていた
  2. ベランダに上るための取っ掛かりが多かった
  3. その場に2歳男児1人しかいなかった

1つ目は、ベランダにつながる窓が開いていたこと。

マンション室内からベランダへつながる窓は、多くの場合が床付の大きな掃き出し窓になっています。こちらのマンションも同様のようですね。

窓がすでに開いていたなら、ベランダへ出ることは容易だったと考えられます。仮に窓や鍵が閉まっていたとしても、窓の鍵の高さはせいぜい床上90~100cm。

2歳男児の平均身長が90cmであることを考慮すれば、自力で鍵を開けることも可能だったかもしれません。

窓の鍵(クレセント)の一般的な高さは、窓高下から窓の高さ×45%の位置です。

2つ目は、ベランダに上るための取っ掛かりが多く見られたこと。

先述のとおり、2歳男児の平均身長は90cmといわれています。当該マンションのベランダの高さ(笠木)は約110cmなので、足がかりの高さは55cmに満たない程度です。

手すりに直接手をかけたり、足がかりに足をかけることは難しいでしょう。しかし、ベランダの支柱が手前に出っ張っていることもあり、力の強い子なら登れてしまいそうです。

実際、捜査では「支柱等からよじ登って転落した」とみられています。

当初報道された「ベランダにキャンプ用のイスがあった」件については、イスが転落箇所から離れた位置にあったそうです。事故とは直接関係なさそうですね。

3つ目は、事故現場当時に自宅にいたのが転落した2歳男児だけだったということ。

事故当時、両親は1人お昼寝をする2歳男児を自宅に置いて外出していたそうです。

外出先はわかりませんが「ゴミを捨てに行くだけ」などのごくごく短い用事ではなかったのかもしれません。

 

2歳はまだ言って聞かせたり、約束事の完遂ができない年齢です。お昼寝から目覚めて両親の不在に気づけば、不安から探しに行くことも考えられます。

その時、たまたま近くの窓が開いていたら?鍵のかかった玄関より、気になったかもしれません。

普段は近づけば止められるベランダ付近、天気も穏やかな晴れ。

「25階は人命が危ぶまれる高さ」と気づける年齢にない2歳児には、ベランダの向こう側に魅力的な何かが見えていたのでしょうか。

 

まだ何が危険なのか判断できない年齢の子どもを、自宅に1人にさせてしまった。不運にも登れなくもないベランダへつながる窓を開けたまま。

3つの理由が重なったことが、今回の事故を引き起こす原因になったと考えて差し支えないでしょう。

タワマンだけじゃない!意外と多い子どもの高所転落事故

ベランダや窓からの子供転落事故は、実はここ最近だけのものではありません。

東京消防庁や消費者庁から定期的に注意喚起がされるほど、毎年起きている事故なんです。

東京消防庁管内1)で、平成27年から令和元年2)までの5年間に、5歳以下の子供70人が、住宅等の窓やベランダ3)からの墜落により医療機関に救急搬送されています。

高所からの墜落は、生命に危険を及ぼす可能性が高く、十分注意が必要です。

【引用元】東京消防庁<安全・安心><トピックス><住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意!>

消費者庁が実施した調査では、乳幼児の育児経験がある消費者の約4割が子育て中 に転落事故1の経験があり、その約3割が医療機関を受診した経験があると回答しています2。東京消防庁「緊急搬送データ」においても、子どもの転落は各年代で多い事故の種類の一つであり、日常生活の中で多くの転落事故が発生している様子がうかがえます。また、厚生労働省「人口動態調査」によると、9歳以下の子どもの建物からの転落により、夏を中心に令和2年までの5年間で 21 人亡くなっています。

【引用元】子どもの転落事故に注意! – 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を – | 消費者庁

ここ1か月だけでも、国内でこれだけの死亡事故が実際に起きています。

  • 10/22 東京都江戸川区で4歳男児が都営住宅の外廊下(12階)から転落し死亡
  • 11/2 千葉県美浜区で2歳男児が超高層マンションのベランダ(25階)から転落し死亡
  • 11/5 大阪府豊中市で2歳男児がマンションの窓(4階)から転落し死亡

なぜ9歳以下の小さな子供に高所転落事故が起きやすいのか?その理由については、主に次の4つがあげられます。

子供の高所転落事故が起きやすい4つの理由

  • 年齢を重ねるごとに外への興味が増す
  • 「高い場所」という普段見えない視点への好奇心
  • 生まれた時から高層住宅に住んでいると高所への恐怖や危機感が薄い
  • 4歳以上(場合によっては2歳でも)高さ110cmの高さは越えられる

生まれた時からマンションなど高層階に住んでいると、どうしても高所への危機感が麻痺してしまうものです。高所恐怖症ならぬ高所平気症ですね。

さらに年を重ねていくにつれ、手足が自分の自由に動くようになり、外界への興味はどんどん強まります。

隙間があれば頭や手足をつっこみ、登れるところは意味もなく登りたくなる。そこに命を失うかもしれないなんて危機感や恐怖感は微塵もありません。

そして、圧倒的好奇心の前には「高所での行動がどうして危険なのか」をいくら説いても馬の耳に念仏。

9歳以下は小学校低学年までの年齢層ですから、大人のようにルールや約束事を守れないのは想像に難くないですよね。

 

その状況下で、もしベランダに自由に出ることができたら?その場に止める大人が誰もいなければ…幼い子供の転落事故はそうして起きてしまうのかもしれません。

今回の事故への声や意見

穏やかな昼下がりに突然幼い命が失われた事故に、悲しみの声が強く広がっています。

「自分にも小さな子供がいる。本当に他人事ではない。」
「幼い子どもを1人残して外出するなどありえない。」

といった声が多く上がっているようです。

 

家族はもちろん、たとえ見知らぬ他人の子どもでも「命を失わせたい」と思う人はいないはず。どうすれば幼い子供の転落事故を防げるのでしょうか。

戸建てでもマンションでも!今すぐ実践したい3つの転落防止策

高い場所で登り棒をする少年近年の事故ではマンションからの転落事故が多い印象ですが、一軒家でも2~3階から落ちれば命に関わることもあります。

「大人のいない時にベランダへ出ない」
「ベランダや窓の手すりから身を乗りださない」

単純な約束事ですが、好奇心の塊ともいえる子どもに遵守させるのは不可能といっても過言ではないでしょう。

子どもが危険を危険と認識できる年齢になるまでは、周りが命を守るために積極的に行動することが必要。そのためにできる3つの転落防止策について、まとめてみました。

今日からできる3つの転落防止策

  1. ベランダにモノを置かない
  2. 窓にストッパーや補助錠をつける
  3. 子どもを1人にしない

ベランダにモノを置かない

子どもは登れる場所があれば、その先の危険など一切顧みず登ってしまうもの。

手すりへの足がかりになるようなモノは、ベランダに置かないようにしましょう。

ベランダに置かない方がよいもの

  • プランターや観葉植物
  • 机やイス
  • 紐で縛った新聞
  • 高さのあるゴミ箱 etc

(一軒家は別ですが)そもそもマンションは階数に限らず、ベランダ部分は避難経路であり、共用部扱いです。

隣室への壁は人力で破れるようになっていますし、避難はしごも床面に設置されていますよね。

洗濯物を干す程度なら問題ありませんが、避難の妨げになるような重いものや大きいものを常時置いてはいけないんです。

「高層階のベランダでまったりカフェ気分」
「ベランダをガーデン代わりに」
「自室内に入りきらない荷物の倉庫に」力

こうした気持ちはわからないでもないですが、絶対にやめましょう。

エアコンの室外機など賃貸だと自由に動かせないものについては、上に登らせない工夫が必要です。

室外機上にプランターをのせても良いですが、室外機カバーと一体化している収納はかなりオススメです。

子どもも登れませんし、避難経路をふさぐことなく収納を増やすことができますよ。

逆にベランダに置くことが推奨されるものは「柵など手足がはいる隙間を隠せる」もの。

ベランダの内側を布や網目の細かいネットで覆ってしまえば掴んで登りにくくなりますし、思わぬケガも防ぎやすくなります。

ベランダの内側であれば、マンションの外観規定にひっかかることもないはずです。是非実践してみてくださいね。

全ての窓にストッパーや補助錠をつける

たとえ足がかりになるものがなくても、不運が重なれば今回のような事故が起きる可能性はゼロとはいえません。

子どもが約束事を守れないうちは、物理的に「ベランダに出さない」ことも1つの手になります。

 

窓から物理的に出られないようにするモノ…というと、まず面格子が浮かぶ人が多いですよね。取付自体はそう難しくなく、面格子本体もホームセンターや通販で購入できます。

しかし、こちらは費用がかなりお高め。また、取り付ける建物によっては専門の工事が必要になるケースも。

そもそも賃貸ですと、勝手に取り付けるわけにはいかないサイズや見た目ですよね。

  • 対策が必要な期間だけ設置したい
  • 工事が必要ないものがいい
  • できるだけ安価にすませたい

そんな人は、窓ストッパーや補助錠がオススメです。

最近の補助錠やストッパーには色んな種類があり、着脱が簡単にできるものが多いので賃貸でも問題なく使用できます。

補助錠やストッパーの種類

  • 鍵付き・鍵無しタイプ
  • シールで貼るタイプ
  • 圧着・差し込みタイプ
  • オートロック対応タイプ
  • 外開き窓対応タイプ etc

補助錠やストッパーは通販や100均ストア、ホームセンターなどで購入できるので、手軽に設置可能。

値段もお手頃なものが多く、たとえ子どもの体が通る大きさの窓全てに設置しても、かなりお安くすませられるでしょう。

 

子どもの力で窓が開けられなければ、ベランダや窓からの転落事故リスクは大幅に減らせます。手軽さでいえば一番なので、今日にでも実践したい方法です。

子どもを1人で留守番させない

9歳の子どもといえば「自宅の鍵を持たせられるか?」が、よく話題になる年齢ですよね。裏を返せば、鍵を預けられないうちは親の目がないとまだ安全・安心に生きられないということ。

転落事故のリスクが大きい9歳以下のうちは、一人で留守番させる状況をつくらないことが大切です。

今回は転落事故でしたが、幼い子どもを自宅で1人きりにした場合に起きうる事故は他にも色々考えられます。

  • コンロ操作などによる火災・ケガ
  • 訪問対応時に連れ去り
  • 無断外出をして災害にまきこまれる
  • 無断外出をして交通事故にあう
  • 室内で遊んでいて転倒・ケガ・意識喪失など etc

危険を危険と認識できない子どもは、本当に大人が予想もしないような行動を簡単にとってしまいます。

「ちょっとゴミ捨てにいくだけ」「そこのコンビニに行くだけ」

そんな些細な用事だったとしても、何かあれば後の祭り。

 

24時間目を離さないなんて、24時間傍にいたって不可能なんです。だからこそ、最低限「1人でお留守番」な状況が生まれないように気を付けたいですね。

まとめ

ベランダのてすりに座る白猫一戸建てやマンションに限らず、建築の安全基準に関わる法整備は年々進められています。しかし、それでも全ての事故を防ぐことは不可能です。

まだ多くの分別がつかない幼い命を守るためにも、私たち大人が目を離さないでいられる世の中であってほしいですね。