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【炎上】空港で他人の荷物を預かる「リスク」とは?逮捕や死刑もありうる空港の怖い話

21記事目のアイキャッチ

Twitterのトレンドに浮上してきた「他人の荷物」という言葉。出所は、とある個人が体験談をつづったツイートの炎上でした。

なぜ一個人の体験談が炎上しているのか?原因は、ツイートを見た人に「ある深刻な誤解」を招く可能性がある内容だったからです。

Twitterで炎上を引き起こした体験談の内容はどんなものだったのか?人々の生活に大きく影響しかねない「ある深刻な誤解」とは?

一緒にみていきましょう。

空港話で炎上!想像以上に重い「他人の荷物を預かるリスク」とは

空港で搭乗をまつ客と赤いキャリーケース日々膨大な情報が錯綜するTwitterでは、何気ない発信が思わぬ余波をうむことがあります。

それが「バズる」という形であればよいですが、「炎上」の時はその情報に注意が必要です。今回の件は、後者にあてはまるものでした。

炎上したアカウントが推奨してしまった「判断」とは?空港で他人の荷物を預かることはなぜいけないのか?詳しく調べてみました。

発端はとあるツイートだった

ツイートしたアカウント名は「島村一平‗新著『憑依と抵抗』(晶文社)好評発売中!!(@ippeishimamura)」。

プロフィール欄には「文化人類学者@国立民族学博物館」と記載があり、本人の著作も何冊かあるようです。

2022年9月3日、このアカウントは次の内容を複数のツイートにつなげて投稿しました。

当該ツイートはすでに削除されています。

該当ツイートの内容まとめ

  1. 昔ロンドンを出立する際に、本を買いすぎて荷物の超過料金が発生した
  2. しかし現金不足で支払う手段がなく、ロンドン空港内にいる日本人客へ「荷物を一部肩代わりしてほしい」と考える
  3. 複数のグループに声をかけたが、いずれも断られる
  4. 仕方ないので荷物量を減らす検討をしていたところでモンゴルの劇団一行と遭遇
  5. 事情を伝えると劇団一行が荷量の肩代わりをしてくれることに
  6. チェックイン時にその旨を空港職員へ伝えると非難されたが、無事手続き完了
  7. 日本人が冷たくモンゴル人が優しいわけでないし、「空港などで他人の荷物を預かってはいけない」リスクは承知している
  8. しかし、その情報を頭ごなしに鵜呑みにした行動しかとれず、その場の「判断」ができない人間はいかがなものか
  9. 相手の身分や意図をその場で「判断」し、リスクを負ってでも他人の荷物を預かる優しさをもてる世の中であっても良いのでは

このツイートに反論・批判が殺到。投稿してまもなく、炎上状態となりました。

反響の大きさからか、ツイートはおよそ1日で削除。9/5現在、未だ該当ツイートに対する多くの批判や注意喚起のツイートが見られます。

9/6追記

当該ツイートをした方から、謝罪の旨を記載したツイートが投稿されました。

ツイートが炎上した理由!なぜ「空港で他人の荷物を預かってはいけない」のか

当該ツイートはなぜ炎上したのでしょうか。その理由は、次の2点が大きいと考えられます。

  1. 世界共通認識である「空港で他人の荷物を預かってはいけない」ことについて肯定・推奨するような内容である
  2. 自分が金銭的に損したくないがための行動なのに、協力的態度をとらなかった日本人客や空港職員を責めるような書き方をしている

1つ目は、世界共通で強く注意喚起されているこちらの理由。

空港で他人の荷物を絶対に預かってはいけない!

なぜ空港で他人の荷物を預かってはいけないのか?

それは、違法薬物所持や密輸の罪で逮捕されるリスクがあるからです。

「麻薬の運び屋」という言葉をご存じですか。国から国へ麻薬を運び、その報酬をもらう者たちの俗称です。もちろん違法行為であり、捕まったらどこの国でも厳罰に処せられます。しかし、本人が知らないうちに、この運び屋に仕立てられることもあるのです。

【引用元】外務省 海外安全ホームページ|海外邦人事件簿 Vol.19 お土産物にまさか麻薬が

本人の知らないところで、無関係の人を麻薬の運び屋に仕立て上げる。「そんなことありえるの?」と思いますが、これがかなり巧妙にハメられてしまうケースが多いんです。

実際に「運び屋」にされたケース

  • 現地でスーツケースを盗まれ、ガイドに新たなスーツケースをもらった
  • 海外で仲良くなった現地人から「日本の友人に渡してほしい」と荷物を引き受けた
  • 海外から日本へ荷物を運ぶアルバイトをした
  • 海外で現地の友人宅に滞在、帰国時にキャリーケースの中から見知らぬ袋が出てきた
  • 空港で「超過料金を回避したい」他人の荷物を一部引き受けた
  • 現地で購入した土産物の木彫りをキャリーケースにいれて帰国した

上記の「荷物」には、全て麻薬や覚せい剤などの違法薬物が含まれていました。

本人の知らぬ間に…なんて言い訳は一切たちません。違法薬物を所持・密輸してしまった日本人旅行者は、違法薬物の密輸として現行犯逮捕。

現地の法で裁かれ、未だ現地で懲役に服す人もいます。恐ろしい話ですが、終身刑や死刑に至るケースも…。

アジアのT国における麻薬法を見てみましょう。規制薬物により細かく分かれていますが、ヘロイン、LSD、エクスタシー(MDMA)など日本でもおなじみの薬物についてみてみますと、次のとおりとなっています。

使用目的所持(20g未満)1年~10年の懲役及び罰金
譲渡目的所持(20g以上100g未満)5年~終身刑及び罰金
譲渡目的所持(100g以上)終身刑又は死刑
製造・輸出入終身刑
譲渡目的の製造・輸出入死刑

【引用元】外務省 海外安全ホームページ|海外邦人事件簿 Vol.37 「麻薬の運び屋」は終身刑!!

また、仕立て上げた運び屋を囮とし、その隙にプロの運び屋が本命を運ぶ…なんてこともあるそうです。

多かれ少なかれ、自分の荷物から違法薬物が見つかってしまえば無実を証明する方法は皆無に等しいでしょう。どれだけ主張しても容赦なく裁かれてしまうことは避けられません。

 

以上の理由を考えれば、当時ロンドン空港で断った日本人客や咎めた空港職員に何一つ非がないことがわかるでしょう。

しかし、この事実を理解しながら、当該ツイートでは咎めた空港職員を

「いじわるいカウンターのお姉さん」

と表するなど、相手への不快感が読みとれる書き方をしています。

この書き方が、余計に

「自分が損したくないがために見ず知らずの他人を巻き込もうとした」
「世界共通認識のリスクに対する自らの行動を正当化したがっている」

といった印象を強め、炎上につながったのではないでしょうか。

TwitterなどSNSを見るのは、良識ある大人だけではありません。まだ知識も判断も未熟な子どもや、卒業旅行などで今後初めて空港を利用する若者もいます。

そんな環境下で最悪死刑にもなりうる行動を肯定した主張を、全世界にむけて発信してしまったわけです。これが、今回の炎上の最大の原因だと考えて差し支えないでしょう。

リスクから自分の身を守るためには?

年々巧妙になる「運び屋」の罠にハマらないようにするためには、どうすべきなのでしょうか。

重要なのは「中身を確認できないものを受け取らない」こと。国内外から多くの人が集う空港では、以下の行動をこころがけましょう。

空港で守りたい行動

  • たとえ数分でも見知らぬ人から荷物を預からない
  • 荷物を押し付けられそうになったら逃げる(空港職員・警備員に知らせる)
  • 現地で仲良くなっても荷運びなどの依頼は受けない
  • その場で消耗しきれるもの以外は現地人から安易に受け取らない
  • 現地で購入したものに不審な点がないか必ず確認する
  • 帰国前に荷物を確認、必ずスーツケースは施錠をこころがける etc

せっかくの楽しい飛行機旅が、無実の罪で懲役や死刑だなんて絶対イヤですよね。

親切心や優しさをもつことは美徳ですが、まず何より自分の身を守る術を忘れずにいたいものです。

他人の荷物だけじゃない?空港で気を付けたい2つの行動

空いている空港を上からみた図空港で犯罪に巻き込まれないよう注意が必要ですが、自身が犯罪を起こさないためにも配慮は必要です。

「まさか自分が?ありえない!」と誰もが思うところですが、意図せずとった行動が思わぬ事件に発展してしまうこともあるんです。

今回は、以下の2つのケースをご紹介していきますね。

  1. 航空機内で爆弾の所持を示唆し、軽犯罪法違反で書類送検
  2. 空港敷地内でドローンの電源をいれ、威力業務妨害容疑で書類送検

航空機内で「バッグに爆弾がはいっていると発言」して書類送検された男性の話

「わざわざそんなこと言う人いる?」と思われるでしょうが、ごくごく最近にこんな事件が起きました。

航空機内で手荷物に爆弾が入っていると話し、出発を遅らせ業務を妨害したとして、宮城県警が軽犯罪法違反の疑いで同県の男性(75)を書類送検したと報じられた。送検は7月15日付。

報道によると、男性は2022年5月19日昼頃、仙台空港から那覇空港へ離陸直前の航空機内で、客室乗務員に対し、手荷物のバッグを手渡す際に「爆弾が入っているよ」と言ったという。安全確認のために航空機の出発が約50分遅れた。当時、機内には約100人の乗客がいたようだ。

その後、男性が爆発物を持っていないことが確認されたため、機長の判断で離陸。男性は那覇まで搭乗し、そのまま沖縄旅行をした。航空会社は被害届を出していないという。

【引用元】75歳男性、航空機内で「爆弾が入っているよ」と手荷物渡す…問われた罪は? (弁護士ドットコムニュース) – Yahoo!ニュース

搭乗した後日、警察はこの件を悪質と判断し、男性に任意で取り調べを実施。当人は「冗談だった」と話しているそうです。

ネットに「学校を爆破する」など書き込んで逮捕される事件もありますし、この件もけして軽く見ていい話ではないですよね。

冗談で言っていいことと悪いことの判断程度はつけられる大人でありたいものです。

空港敷地内で「ドローンを持ち込んで電源をオン」にして書類送検された男性の話

旅行などの際によく機内持ち込み禁止物が話題になりますが、正当な理由なく空港敷地内に持ちこんではいけないものもあります。その1つが、ドローン(無人航空機)です。

2020年6月24日に改正された「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」に基づき、以下8空港ではドローンの飛行が禁止されました。

  • 新千歳空港
  • 成田国際空港
  • 東京国際空港
  • 中部国際空港
  • 大阪国際空港
  • 関西国際空港
  • 福岡空港
  • 那覇空港

また、正当な理由がない場合、空港内にドローンを持ち込むこと自体禁止している空港もあります。

航空機事故を防ぐために日夜上空への警戒を怠らない空港では、当然の対応といえるでしょう。

しかし、このことを知ってか知らずか空港敷地内にドローンを持ち込み、電源をいれてしまった人がいたようです。

福岡空港(福岡市)の敷地内で小型無人機ドローンの電源を入れ、発信した電波で航空機の離着陸を妨げたとして、福岡県警は1日、威力業務妨害容疑で会社役員の50代男性を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、書類送検容疑は令和3年6月25日、福岡空港の駐車場に止めた乗用車内でドローンの電波を発信し、空港運営会社「福岡国際空港」に安全確認のため航空機の離着陸を一時停止させたとしている。

【引用元】ドローン電波で空港妨害容疑、50代男性を書類送検 – 産経ニュース

この男性は電源を入れて電波は発信したものの実際の飛行は行わなかったため、法適用の対象にはなりませんでした。

悪意はなかったかもしれませんが、不用意な行動が犯罪につながることもあるのだとよくよく考えさせられる事件ですね。

 

空港は空がとても開けている場所ですが、それは飛行機が安全に飛ぶため。今までにないことを行うときは、事前確認を怠らないようこころがけましょう。

まとめ

空港で航空スケジュールを見る女性世界の共通認識とはいえ、普段空港を利用しない層にとって今回の情報が初耳な人もいたのではないでしょうか。

当該ツイートは炎上してしまいましたが、得た知識は自分の身を守るためにしっかり活用していきたいですね。