ニュース

国民健康保険が払えない!納付書を無視して起きる出来事や無収入でも相談できる窓口をまとめました

7記事目のアイキャッチ

毎年6月になると、多くの家庭に届くのが国民健康保険料額通知書と納付書

国民健康保険を維持するためにも払う必要がありますが、経済的な問題や意図的な理由から払わない人もいるようです。

届いた納付書を無視し続けると何が起きるのか?払わないことで生じるデメリットとは?

知っておいて損はない情報、詳しくまとめてみました。

国民健康保険が払えない!納付書を無視し続けると何が起きるか詳しくまとめてみた

窓際で景色を眺めながら考え込む男性国民健康保険に加入している人には、毎年6月に必ず届く保険料を支払うための納付書。

でも、そもそも国民健康保険は何故払わないといけないのか?払い続けなかった時、どんなメリットやデメリットが起きるのか?

順番にみていきましょう。

「国民健康保険の保険料」ってなんのお金?誰が加入しているの?

そもそも国民健康保険とは何なのでしょうか。

国民健康保険とは加入者の医療費負担を、加入者から保険料、国や市町村が税などを出し合って支えあう医療保険制度です。75歳未満の全ての国民に加入する義務があります。

ただし、以下の医療保険制度へ加入している人は除外されます。

  • 被用者保険(協会健保・共済組合など)
  • 後期高齢者医療制度(75歳以上)
  • 生活保護受給者

国民健康保険は市町村国保・国民健康保険組合の2つから構成されており、各保険者が給付・徴収・保険事業を行います。年齢による負担割合は、どの国民健康保険も同じです。

しかし、各保険者によって財政状況が異なるため、加入者が納める保険料も運営する保険者によって差があるのが実情です。

国民健康保険を運営する保険者

  • 市町村国保:都道府県・市町村・特別区
  • 国民健康保険組合:同種同業の組合員によって組織された組合

国民健康保険の主な加入者

  • 自営業
  • フリーランス
  • パート
  • アルバイト
  • 農業・漁業従事者
  • 退職後に勤務先の健康保険をやめた人
  • 長期在留外国人 etc

国民健康保険の保険料はどうやって決定・納付する?

国民健康保険の保険料は、所得割・均等割・平等割の3つの要素から決定されます。

国民健康保険料を構成する3つの要素

  • 所得割:前年の総所得金額から基礎控除を除いた金額に保険者ごとに違う料率を掛けた金額
  • 均等割:保険者ごとに違う被保険者1人あたりの料率に世帯人数(被保険者数)を掛けた金額
  • 平等割:保険者ごとに違う1世帯あたりの料率

各計算に使われる料率及び最高限度額は毎年見直しが行われるため、被保険者の状況が変わらなくとも毎年同額とは限りません。

保険料の計算は毎年6月に行われ、決定した金額を記載した国民健康保険料額通知書と納めるための納付書が届きます。

口座振替や特別徴収(年金から天引き)で納める世帯は、通知書のみ届きます。

国民健康保険を払わないと何が起きる?

先述のとおり、国民健康保険は75歳未満の全ての国民(一部除く)に加入義務のある医療保険制度です。つまり、加入先の違いはあれ、国民全員が必ず支払わなければいけません。

しかし、国民健康保険料を滞納している世帯があるのも現状です。

現在、国民健康保険を滞納している世帯は約235万世帯(2020年度時点)。

福岡県が約231万世帯、兵庫県が約239万世帯(2020年度時点)なので、1県分まるっと滞納世帯があるということになります。すごく多いですよね。

滞納を許せば、その分の負担はきちんと支払っている加入者や運営する自治体へいってしまいます。当然、運営側はそのままにはしておきません。

 

支払わないことに対して正当な理由(失業や病気など)がない場合、自治体は国民健康保険料の回収に動きます。

といっても、突然「家財を差押えにきました」なんて家を訪ねてくるわけではないですよ。

国民健康保険料回収の大まかな流れ

  1. 督促状・催告状の送付
  2. 国民健康保険証の返却要請
  3. 短期被保険者証の交付
  4. 短期被保険者証の回収・被保険者資格証明書の交付
  5. 保険給付の差し止め
  6. 財産の差押え
  7. 延滞金の徴収

最初は「早く支払いを」と書面が届くのみですが、3ヶ月・半年・1年…と未納期間が延びるにつれ、国保に制限がかかります。

短期被保険者は本来の国民健康保険証より有効期限が短く、被保険者資格証明書は窓口全額自己負担(差額の支給には要申請)。

どちらも期限の更新や差額の支給申請に役場へ赴く必要があり、そこで更に催促されるというわけです。

 

これでも支払わないでいると保険給付自体がとまったり、調査の上で財産の差押えや未納期間に対する延滞金の徴収が発生します。

結果的に、本来納めるはずの額より多く支払うことになるんですね。

国民健康保険を受けない場合のメリット・デメリット

国民健康保険料の支払を拒否しつづけることに、メリットやデメリットはあるのでしょうか。

メリットは、国民健康保険料支払いに伴う費用負担がなくなること。これだけです。

保険料の時効(5年経過、遡及は過去3年分まで)が来れば、保険者側は請求することもできなくなります。

「それって…『逃げ得』では?」

いいえ、払わないことで起きるデメリットは1つじゃ済まないんです。

国民健康保険料を払わないことで起きるデメリット

  • 国民健康保険の全部または一部が利用不可
  • 高額療養費制度の利用不可
  • 出産一時金制度の利用不可
  • 葬祭費の受給不可
  • 財産を失う(差し押さえ)
  • 延滞金の発生

国民健康保険制度は、元々病気やケガの時に高額な医療費負担を受けずにすむためにある仕組みです。

その全部または一部が利用できないとなれば、どれだけ体調が悪くても病院にかかることを控えてしまうでしょう。下手すれば命の危機に直結する事態です。

国民健康保険の有無は、健康で文化的な最低限度の生活に差し障るといっても過言ではないんですね。

国民健康保険は減免できる?まずは自治体窓口で相談を

それでも、どうしても国民健康保険料を払うことができない時はどうすればよいのでしょうか。

 

まずは、支払が滞る旨を早めに保険者へ相談してください。その際、その理由をしっかり伝えましょう。滞納理由について証明する資料など持参できるとよいですね。

相談窓口の担当者はプライバシーに配慮した上で、その時にできる最善の対応をしてくれます。その1つとしてあげられるのが、保険料の減免です。

 

保険料の支払が滞る理由が保険者の定める減額・免除の基準に該当する場合、保険料の減免を受けられることがあります。

減免を受けられるタイミングや細かな条件は各保険者によって異なりますので、一度確認してみてくださいね。

保険料の減免を受けられるタイミング

  • 前年総所得が一定基準以下になった時
  • 会社都合退職や正当な理由による自己都合退職時
  • 被用者保険の被扶養から国民健康保険へ加入した時
  • 災害などで生活の維持が困難になった時 etc

また、保険者によっては滞納した保険料の分割払いに応じてくれるケースもあるようです。とにもかくにも、払えないとわかったら間を開けずに相談してみましょう。

収入がない時に頼れる3つの公的制度をまとめてみた

国民健康保険料を払えない理由として

  • 現在の収入がゼロである
  • 前年度所得と比較して収入が著しく減った

上記2つは、かなり多いと思います。

ともすれば命の維持にも関わる国民健康保険料すら払えない…。そんな時、国民健康保険の減免以外にも頼れる制度があるのはご存じでしょうか。

ここからは、生活費に困ったときに頼れるかもしれない3つの制度についてご紹介していきます。

住居確保給付金

衣食住という言葉のとおり、人が生きるにはまず住処が必須ですよね。

しかし、収入が乏しいまたはゼロで今生きるための住居の確保すら危うい…。そうなったら、まず最初に「住居確保給付金」が受給できるか確認してみましょう。

住居確保給付金とは

経済的困窮により住居を喪失or喪失するおそれがある人に家賃相当額(または家賃の一部に相当する額)を支給する制度

対象:離職や自営業の廃業、または休業等に伴う収入減少やそれと同等の状況から収入がゼロまたは減少した人

支給額:申請月の世帯収入額によって決定

支給期間:原則3ヶ月間、ただし一定要件を満たす場合のみさらに3ヶ月間×2回の延長が可能(最大9ヶ月間)

申請:市または県の相談窓口

受給に必要な条件や支給額の上限は、各自治体によって違います。自治体HPに詳細が必ず記載されているので、一度目を通してみてくださいね。

 

なお、この制度は失業保険(雇用保険の基本手当)の申請前に相談する必要があります。順番を間違えると受給できないので、ご注意ください。

失業保険(雇用保険の基本手当)

自らの意思にしろ、やむを得ない理由にしろ、職を失えばお金に困ってしまう人がほとんどかと思います。

でも、すぐに次の職を見つけられるとは限らないし、仕事を探す間の生活費どうしよう…。そんな人は「失業保険(雇用保険の基本手当)」の申請をしてみましょう。

失業保険とは

雇用保険の基本手当(求職者給付)

対象:就職する意思を持ち、問題なく就職できる健康状態であり、積極的に求職活動をしているが、まだ就職できていない人

かつ離職日以前2年の間に12ヶ月以上被保険者期間がある人orやむを得ない理由により離職した日以前1年の間に6ヶ月以上被保険者期間がある人

給付額:離職日以前6ヶ月の賃金と所定給付日数から計算される

受給期間:離職日から1年間

申請:住居地域を管轄するハローワーク

ほか、申請に必要なものや受給するために必要な条件など、こちらに詳細がまとめてあります。

失業保険はただ申請すれば受給できるわけではないですが、生活費の大きな足しになることは間違いないでしょう。

職を見つける助けにもなりますから、失業したら一度は必ず行くことをオススメします。

国民年金の免除・納付猶予

毎月納めなければいけない保険料は、国民健康保険だけではありません。国民年金もあります。所得や年齢に関係なく一律に毎月16,590円…結構大きな出費です。

こちらも国民健康保険料同様、収入減少など条件を満たす場合にかぎり、免除や納付猶予を受けることができます。

国民年金の免除・納付猶予

免除の対象:前年所得が定められた基準額を下回る・失業や事業の廃止が確認できるなど条件に該当する人

年金事務所の所得・世帯構成による審査後、免除額が決定される

 

納付猶予の対象:前年所得が基準額を下回るかつ50歳未満の人

所得・世帯構成による審査後、申請が承認されると納付猶予期間となる

納付猶予を継続する場合は毎年申請が必要

 

申請:各市町村役場の保険年金課or各市民センター窓口

国民年金の免除を受けた場合、将来受け取る老齢基礎年金の年金額が全額納付と比べて低くなる場合があります。

免除後に追納も可能なので、払えないからといって未納のまま放置せず、まずは相談してみましょう。

まとめ

聴診器とボールペンと書類国民健康保険料は国民の経済的医療負担を軽減し、病気やケガから日常生活を守るための制度です。

もし何かしらの理由で払えない時がきたとしても、然るべき場所へ行けば助けてくれる人たちが必ずいます。

納付書が届いたら見て見ぬ振りをせず、まずは相談してみましょう。