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普及率49%のマイナンバーカードが実質義務化!?2024年秋へ急ぐマイナ保険証は国民の理解をえられるか

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あなたはマイナンバーカードを持っていますか?

個人と紐づけられた12桁の番号が2015年10月頃に順次通知されて以降、徐々に普及がすすめられてきたマイナンバーカード。

未だその普及率は国民の半分に届きませんが、7年目となる今年、大きな動きがありました。

マイナンバーカードは「実質義務化」となるのか?普及がなかなか進まない理由とは?

詳しく調べてみました。

2024年秋に紙の健康保険証が原則廃止!一体化で「実質義務化」されるマイナンバーカードとは

お医者さんの道具とカルテ国民皆保険が浸透する日本では、健康保険証は赤ちゃんから高齢者まで国民全員が所持する公的身分証明書です。

昔は紙、今はプラスチックカードと形を変えて常に手元にあった健康保険証が2024年秋に原則廃止となることが明らかになりました。

といっても、健康保険証自体がなくなるわけではありません。任意取得であるはずのマイナンバーカードと一体化する方向とのことです。

任意であるはずのマイナンバーカードで国民皆保険…?一体どういうことなのでしょうか。

マイナンバーカードが実質義務化?統合される2つの身分証

2022年10月13日、河野太郎デジタル大臣が会見にて以下の内容を発表しました。

会見の内容まとめ

  • 現行の紙やカードの健康保険証は2024年秋に原則廃止
  • マイナンバーカードに健康保険証の機能をもたせて「マイナ保険証」へ一本化
  • マイナンバーカードと運転免許証の一体化を2024年度末より早めるよう警察庁と検討中
  • マイナンバーカードなしでもオンライン申請やマイナポータルの利用が可能に(電子証明書のスマートフォン搭載、Androidは2023年5月11日にサービス提供開始予定)
  • マイナンバーカード所持者が利用可能な運転免許証更新のオンライン講習の対象を2023年度から一般運転者へ徐々に拡充予定(現在は優良運転者(ゴールド)のみ対象)

大変盛りだくさんな内容ですが、最も気になる点は「健康保険証と運転免許証のマイナンバーカード一体化」でしょう。

どちらも生活に身近であり、個人情報の塊といっても過言ではない「取扱いに注意が必要な身分証」です。

これら2つの身分証が手元からなくなり、代わりにマイナンバーカードだけになる。

実質「全国民のマイナンバーカード義務化」といえる状況に、多方面から期待や不安の声が上がっています。

マイナンバーカードとは?

そもそも、マイナンバーカードはどんなものなのでしょうか。

マイナンバーカードとは、マイナンバー制度に基づき配られた個別の12桁の番号(マイナンバー)と顔写真がついているカードです。

素材はプラスチックでICチップがついており、表裏に以下の情報が記載されています。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 性別
  • 電子証明書の有効期限
  • マイナンバー
  • 顔写真
  • サインパネル領域(引越先の新住所など修正情報)
  • セキュリティコード
  • 臓器提供意思表示欄

公的な身分証明書であり、内蔵された電子証明書を利用した各種自治体サービスも利用可能。現実でもオンラインでも使える公的な身分証明書になっているんです。

電子証明書とは

オンラインによる行政への手続やWebページへのログインは「公的個人認証サービス」を利用することで、安全確実な本人確認が可能になります。

その本人確認で必要になるのが、電子証明書です。

2種類の電信証明書をマイナンバーカードのICチップへ記録することで、オンラインで使える公的な身分証明書としているんですね。

  • 署名用電子証明書:作成・送信する電子文書の送信者と送信内容が真正なものであることの証明
  • 利用者証明用電子証明書:ログインユーザーが自身であることの証明

運転免許証など他の公的な身分証明書同様、マイナンバーカードにも有効期限が設けられています。期限がきたら、各自治体へ新しいカードを受け取りにいかなければいけません。

マイナンバーカードの有効期間

  • カード発行時に未成年:発行後5回目の誕生日
  • カード発行時に成人済:発行後10回目の誕生日

これとは別に、電子証明書の更新も必要です。こちらは年齢に関わらず「発行後5回目の誕生日」になっています。

 

取得・更新・紛失時などの手続きは各管轄の自治体のほか、マイナポータル(アプリ)でも可能です。

不明点はデジタル庁管理の総合フリーダイヤルで質問・相談でき、紛失時など一時停止については24時間365日対応してくれます。

マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178

※ 紛失時の一時停止はメニュー2番

まだ始まって6年程度の制度ですが、緊急時に対応してくれる窓口があるのは助かりますね。

マイナンバー制度はどんな目的で作られたの?

マイナンバー制度は、次の3つを目的として導入されました。

  1. 社会保障・税関係など煩雑な手続きの簡易化など利便性の向上
  2. 国や地方公共団体間等の情報連携スムーズ化による行政の効率化
  3. 不正受給防止や困っている人への迅速・丁寧な支援を可能とする公平・公正な社会の実現

この3つの目的をまとめて達成できる方法がデジタル社会の構築であり、その一端を担うのがマイナンバーカードなんですね。

サービスやシステムの整備はまだ途上なマイナンバー制度ですが、現時点でもカードを持つことにこれだけのメリットがあります。

マイナンバーカードを持つメリット

  • 運転免許やパスポート未所持者の顔写真付身分証に
  • 役所で行う手続きが一部スマホで可能
  • 謄本など個人情報をコンビニで発行可能(サービス内容は各自治体による)
  • 引っ越し時の国民年金手続きが届出不要に
  • オンライン上でも使える身分証明書である(なりすまし防止)

また、今年8月26日にYoutubeにアップされた河野デジタル大臣からのメッセージ動画では、

「役所へ行かなくても児童手当など一部手続きをスマホでオンライン申請できるように」
「マイナンバーカードを健康保険証や運転免許証として使えるように」
「(各自治体の判断で)図書館利用カードや病院の診察券、避難所の受付もマイナンバーカードへ集約していけるように」
「公的・民間双方でマイナンバーカードによる本人確認がオンラインで安全・スピーディー・簡単にできるように」

と、デジタル社会のさらなる発展を目的としたマイナンバーカード普及への取組みについて発信されていました。

 

確かに、役所に手続きに行っては待ち、多くの申請書に手書きして、大事な情報を膨大な量の紙で管理して…。

というよりは、デジタル化された社会の方がいろんな面で安心・安全に暮らせそうです。

「運転免許証もパスポートも持ってないから、顔つき身分証は本当にありがたい」
「待ち時間なしで気軽に近所のコンビニで住民票とか発行できるのは非常に便利」

今後確実に増えていくであろうオンライン上の手続きで、安全・確実に本人証明ができるのも大きな魅力の1つでしょう。

 

将来的にさまざまなサービスに利活用されそうなマイナンバーカード。しかし、実情は思ったように普及が進んでいないようです。

現状普及率は約49%!マイナンバーカードの普及がなかなか進まない理由

マイナンバーカードの取得は、現時点では「任意」となっています。義務ではありません。

そのため、2022年9月末時点の普及率は約49%。

取得時に多額のポイントがもらえるマイナポイント第一弾など国は再三取得を促していますが、現状はおよそ半数に留まっています。

お得なキャンペーンもあるのに、なぜ思ったように普及が進まないのか?その理由は「マイナンバー制度やカードへの不安」が一因にあると考えられます。

 

マイナンバー制度やマイナンバーカードは、2016年に始まったばかりの非常に新しい仕組みです。そのため、申請する側も手続きや管理を行う自治体側も慣れないことばかり。

足りない情報、混雑する窓口、煩雑で時間のかかる諸手続き…。

キャンペーンや給付金交付に伴う駆け込みもあり、マイナンバーカードのネガティブな話題は一時期大きくメディアを騒がせました。

また、テレビやCMでは

「カード取得は金銭面で得をするよ!」
「ポイント申込〆切は〇〇日まで!急いで!」

と似たような急かす宣伝が多く、肝心の身分証としての利便性や安全性の説明はほぼ見かけません。

このような上辺のメリットと説明不足のアンバランスさが「発行したくない」人を余計に増やしているように思います。

実際、キャンペーンという利得があっても発行しない人は、以下のような不安を強く感じているようです。

「発行したくない」人が感じるマイナンバーカードへの不安

  • 情報漏洩などセキュリティ面
  • 紛失時の再発行手続き
  • 悪用された時の対応・補償
  • 転居届など手続きに時間がかかる
  • 専用パスワード(2種類)の管理が手間

さらに、単純に「現時点ではマイナンバーカードを作るメリットがない」層も少なからずいますよね。

  • 役所で取得手続きをするのが面倒
  • 現状困っていないのに身分証を増やす理由がない
  • 公的な身分証明を増やすのが怖い(管理が手間)

個人的な実用性のなさや持つことのリスクを理解している層には、一時的なキャンペーンなど行っても効果が薄いでしょう。

 

制度に対する不安や実用性のない身分証を持つリスクを解決するには、利便性や安全性の積極的な周知・説明が必須。

しかし、現状は詳しい説明を得られる機会は乏しく、ただただ取得を促されるだけです。

マイナンバーカードが普及しにくい一因は、国民の不安を根本から解決せずに取得を推し進めようとする部分にあるのかもしれません。

マイナンバーカード実質義務化への声や意見

マイナンバーカードに対する多くの不安や疑問が解決されないまま、進められようとしている「実質義務化」。

本来任意のはずの身分証を強引に取得させられる可能性が強まり、多くの不安や疑問の声があがっています。

「マイナンバーカードに身分証を集約するとなると、カードの紛失再発行時に必要な身分証は何を用意すればいいのか」
「マイナンバーカードと電子証明書のパスワード管理を認知症すれすれの高齢者ができるのか」

身近で使い慣れた身分証明書の形が変わることで、日常生活に支障が出るのでは?と案じる声が特に強いようです。

 

また、河野デジタル相の会見をうけ、日本医師会から

「マイナ保険証への一本化で多くの医療現場で混乱が生じる可能性がある」
「紙の健康保険証を原則廃止する2024年秋に、マイナ保険証未所持者がいたら問題だ」

と医療現場や利用者を案じる発言がありました。

実際、現在マイナンバーカードが利用できる病院・薬局はかなり限られています。

マイナ保険証を利用するシステムへ完全移行するまでの間、病院も利用者も混乱は避けられなさそうですね。

混雑の少ない今のうちに!マイナンバーカードを申請してみよう

iPhoneとメモ帳とノートパソコン2024年秋に紙の健康保険証が原則廃止となる以上、今マイナンバーカードを持たない人はそれまでに取得せざるをえないでしょう。

取得を悩み、期限ぎりぎりで駆け込み申請する人も多く出ると考えられます。そうなれば、申請など手続きの混雑は避けられません。

貴重な休日を待ち時間でつぶすのは、かなり辛いものがありますよね。できれば、酷い混雑が生じにくい今のうちに、マイナンバーカードの申請・取得を済ませてしまいましょう。

マイナンバーカードの申請などに必要な情報をまとめてみました。

マイナンバーカード申請から受け取りの流れ

① マイナンバーカードの交付申請をする

  • オンライン(スマホ・PC)の場合:オンライン申請サイトでメールアドレス登録+必要事項を入力+顔写真をアップロードして申請
  • オンライン(証明用写真機)の場合:対応する5社の写真機で証明用写真を撮影→交付申請書のQRコードを読み込ませる→その場で申請まで完了
  • オフライン(郵便)の場合:交付申請書に必要事項を記入+顔写真を貼り付けて郵送

② 管轄の自治体から交付通知書が届く

③ 受け取りに必要なものをもって交付窓口へ

④ 交付窓口で

  • 本人確認
  • 暗証番号(数字4桁)の設定

上記2つの処理が完了すると、マイナンバーカードが交付されます!

申請時・受け取り時に必要なもの

【申請時】
  • 交付申請書(または半角絵数字23桁の申請書ID)
  • 登録用メールアドレス
  • メール連絡用の氏名
  • 顔写真データ(郵便申請の場合は紙媒体)
【受け取り時】
  • 交付通知書
  • マイナンバー通知カード
  • 本人確認書類
  • 住民基本台帳カード(所持者のみ)

申請時に知っておきたい注意事項

  • 交付申請書の再発行は住所管轄の自治体窓口へ
  • 申請から交付まで1~2ヶ月はかかる
  • 本人確認書類の種類や期限切れ、点数不足には注意

申請から交付まで1~2ヶ月かかりますが、実際の手続き自体は(待ち時間さえなければ)各15分もあれば完了します。

窓口では暗証番号を決めたり、マスクを外して顔を確認したりする程度で複雑な作業も特にありません。忘れ物だけはないよう気を付けてくださいね。

 

手続きの時間を少しでも短くしたい人は、窓口の混雑状況や必要書類の不備不足など事前に確認していくことをオススメします。

マイナンバーカード申請でもらえるポイントキャンペーンマイナポイント第2弾は2022年12月末まで延長されました。

期限までにマイナンバーカードを受け取れた人は、忘れず手続きしておきましょう。

まとめ

パソコンを見ながらタブレットもいじる女性社会のデジタル化を目指すのであれば、マイナンバーカードの普及は必要なことだと感じられます。

しかし、そのために多くの人の不安や問題点を置き去りにしては本末転倒ですよね。

変わりゆく社会のシステムが現実を生きる人の障害にならないよう、今後どのように改善されていくのか?じっくり注視していきたいです。