ニュース

全国に増え続ける道の駅はどんな場所?マナー違反や車中泊の問題とは?詳しく調べてみた

3記事目のアイキャッチ

今や知らない人はいないであろう「道の駅」

広々とした駐車場にたくさんのトイレ、イートインも特産物もお土産も全て揃う…さながら「地域型テーマパーク」のようですよね。

でも、そもそも道の駅ってどんな場所?道の駅が「大変身」をとげる一方で起きている問題とは?

道の駅を知ってる人も知らない人も、是非一度読んでみてくださいね。

全国に増え続ける道の駅ってどんな場所?大変身って?詳しく調べてみた

大きなトラックが走る高速道路およそ30年で一気に数を増やし、人々の認識にとけこんだ道の駅ですが、そもそもどんな場所なのでしょうか?

最初はどんな場所だった?どんな風に大変身をとげたのか?その経緯は?

順番に見ていきましょう。

そもそも「道の駅」ってなに?

道の駅とは、次の2つの目的を叶えるために作られた道路利用者や観光客のための休憩施設です。

  1. 道路利用者が安全・快適に利用できる道路環境を提供すること
  2. 道路を地域の活性化や地域ごとの連携を促す存在として役立てること

女性や高齢者・小さな子供連れの長距離ドライバーが増加してきた頃、

「高速道路のサービスエリアやパーキングエリアのような存在が、一般道路にも必要だ」

という声は高まっていました。民間のドライブイン施設はあったんですが、それではサポートしきれなかったんですね。

また、幹線道路沿いの施設は一般ドライバーや観光客による食事休憩や買い物など多くの利用が見込めることがわかっていました。

 

この2つの事柄から

「道路利用者が快適に休憩できるほか、さまざまなサービスを提供できる場所」

として、先ほどの2つの目的を目指した一般道路における公設施設「道の駅」の開発が進められることになったようです。

道の駅はどうやってできるの?

道の駅は、まず市町村などが道路管理者と相談の上、構想を練り、事業計画の策定や設計をすすめていきます。

そして実際に事業を始めたら、設置者である市町村などが国土交通省に申請。登録されれば晴れて「道の駅」になれるんです。

 

もちろん、申請さえすれば何でも道の駅にできるわけではありません。

国土交通省の定める休憩機能・情報発信機能・地域連携機能の3つの条件を満たした場所のみ、「登録」してもらえます。

「道の駅」登録に必要な具体的な条件

【休憩機能】

  • 休憩施設として利用しやすいなど適切な位置にあること
  • 24時間無料利用できる大型駐車場
  • 24時間無料利用できる清潔なトイレの設置(原則洋式)
  • 24時間無料利用できるベビーコーナーなど子育てをサポートする施設

【情報発信機能】

  • 道路情報や地域の観光情報・緊急医療情報の発信

【地域連携機能】

  • 観光レクリエーションや防災など地域活性化を促す施設
  • 道の駅内の主要ルートをバリアフリー化
  • 市町村または市町村に代わりうる公的な団体が設置者であること etc

場所によって細かな条件は他にもありますが、ここでは割愛しますね。

全国に何か所ある?

道の駅は、2022年2月9日時点で全国に1194箇所あります(2022年度オープン予定3箇所含む)。

【都道府県別】道の駅数

  • 北海道:127駅
  • 青森:28駅
  • 秋田:33駅
  • 岩手:35駅
  • 山形:21駅
  • 宮城:18駅
  • 福島:35駅
  • (東北:170駅)
  • 新潟:42駅
  • 富山:16駅
  • 石川:26駅
  • (北陸:84駅)
  • 東京:1駅
  • 神奈川:4駅
  • 千葉:29駅
  • 埼玉:20駅
  • 山梨:21駅
  • 茨木:15駅
  • 栃木:25駅
  • 群馬:32駅
  • 長野:52駅
  • (関東:181駅)
  • 静岡:25駅
  • 愛知:18駅
  • 岐阜:56駅
  • 三重:18駅
  • (中部:135駅)
  • 大阪:10駅
  • 京都:18駅
  • 奈良:16駅
  • 兵庫:35駅
  • 福井:18駅
  • 滋賀:20駅
  • 和歌山:35駅
  • (近畿:152駅)
  • 島根:29駅
  • 鳥取:17駅
  • 岡山:17駅
  • 広島:21駅
  • 山口:24駅
  • (中国:108駅)
  • 香川:18駅
  • 徳島:18駅
  • 愛媛:29駅
  • 高知:24駅
  • (四国:89駅)
  • 福岡:17駅
  • 大分:25駅
  • 佐賀:10駅
  • 熊本:35駅
  • 宮崎:18駅
  • 長崎:11駅
  • 鹿児島:22駅
  • (九州:138駅)
  • 沖縄:10駅

1991年(正式な開発は1993年)から現在まで、毎年増え続けているんです。

都道府県別で最も道の駅が多く運営しているのは北海道。続いて岐阜の56駅、長野の52駅、新潟の42駅とかなりの数の道の駅が開発されていることがわかります。

逆に最も少ないのが東京の1駅。都心から離れた八王子市にあります。

道の駅は休憩施設として適切な位置にあることや地域活性化の拠点であることが求められるので、都心だと難しいかもしれませんね。

道の駅は誰が設置・管理・運営している?

道の駅のほとんどは、各市町村で設置されています。地域の活性化や町おこしなど目的とした開発をすすめることが多いからでしょう。

管理・運営については、そのまま自治体が管理するケースは15.7%。

第三セクターが運営するケースが31.1%、農業協同組合(JA)など指定管理者が運営するケースが44.3%です。(どちらも平成25年7月時点内閣府データによる)

第三セクターとは、第一セクター(国または地方自治体)と第二セクター(民間企業)が共同出資する事業体を指します。

第三セクターと指定管理者があわせて7割を占めますが、

  • 道の駅で地域の農産物や特産物を積極的に取り扱いたい
  • 地域で開発した加工品や人気メニューを販売したい

など道の駅を地域振興の拠点として発展させていくには、より専門性の高い組織が運営するのが適材適所だったと考えられます。

道の駅にはどんな施設がある?

快適な休憩と多様なサービスを目的としているだけあって、全国の道の駅にはその地域に根付いた複合施設が展開されています。

基本的にどの道の駅でも

  • 駐車場
  • トイレ
  • 地域情報発信コーナー
  • 農産物・特産物直売所
  • 加工品ショップ
  • 地場レストラン

は、あるんですが、それ以外にもこんな色々な施設があるんです。

「道の駅」施設代表例

  • 滞在体験型ファームパーク(道の駅うつのみや ろまんちっく村)
  • 遊園地・劇場・ホテル(道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢)
  • 遊覧船・日帰り温泉(道の駅 伊東マリンタウン)
  • 温泉・サウナ・パン屋(道の駅 どんぐりの里いなぶ)
  • 工房見学・工房体験(道の駅 あさぎり高原)
  • ドッグラン・室内遊園地・テニスコート(道の駅 富士吉田)

元々赤字経営だったレジャー施設をそのまま道の駅へ再利用したケースもあるようです。もはや休憩施設ではなく遊び疲れに行く施設では…?なんて思ってしまいました(笑)

これからの「道の駅の役割」とは?

道路利用者の疲れを癒してきた道の駅は、今後さらに3つの役割を担っていくだろうと言われています。

  1. 本格的な観光地化
  2. 大規模防災の拠点として
  3. 世代を幅広くつなぐ地域センター

道の駅は運転の疲れを癒す施設だけでなく、レジャー目的に遊びに行く場所にもなりつつあります。

今後も休憩施設ではなく、外国人観光客の受け入れを想定した観光地としての地域活性化に役立てていくのでしょう。

大学や子育てサポート施設と連携することにより、学生や子育て世代を支援する地域センターとしての役割も担えそうですね。

 

また、近年多発する異常気象による災害への対策として「防災機能を強化しよう」という動きがあります。その名も「防災道の駅(仮)」

災害ハザードマップや幹線道路へのアクセスから、防災拠点に適した道の駅を各都道府県から1~2駅選出。

災害時の救援活動スペースや一時避難所としての機能を確保していくそうです。

 

最初の開発からおよそ30年、道の駅の活躍はこれからも期待できそうですね。

道の駅×今気になる問題を調べてみた

大きなトラックがたくさん止まる広々とした駐車場休憩施設から複合施設へ進化を遂げつつある道の駅。しかし、発展しつづける一方でさまざまな問題も生じているようです。

増加するマナー違反

残念ですが知名度の増加に伴い、道の駅利用中にマナー違反をする人が年々増加しているようです。

道の駅で実際に起きたマナー違反

  • 駐車場にイスやテーブルを並べる
  • 駐車場でバーベキュー
  • 駐車場にテント設営(キャンプ)
  • 駐車場で大音量の音楽
  • トイレで洗濯
  • 施設の備品を持ち去る
  • 施設の電源を使う
  • 大量の家庭ごみを捨てていく
  • 集会場代わりに使う etc

ちょっと耳を疑いたくなるような内容ですね。道の駅をなんだと思っているのでしょうか。

道の駅は24時間誰でも利用可能ですが、それはドライバーがしっかりと休息をとるため。広いからって、利用者が自由になんでもしていいスペースにはなりえません。直売所で農産物が買えるからって、そこで調理していいはずがないんです。

 

当然ですが、道の駅での上記のような行為はマナー違反にあたります。明確に禁止行為と定める道の駅もあるので、けして行わないようにしてください。

 

施設の1つとしてキャンプ場やキャンプ可能な広場を提供している道の駅もあります。同様に、温泉や足湯、バーベキュー場など…。

せっかく道の駅側で優良な施設を提供してくれているんですから、ルールを守って正しく使っていきたいですよね。

流行り?の「車中泊」問題

道の駅と認められるのに必要な誰でも無料で利用できる広々とした駐車場。この「無料で24時間利用できる」点を狙って、車中泊に利用するドライバーがいるようです。

車中泊とは?

宿泊先をとらずに自動車で移動し、そのまま自動車で寝泊まりする旅行スタイルのこと。

キャンピングカーなど車中泊を目的とした車両はもちろん、近年は普通乗用車などで実践する人が増えています。

本来、車中泊は自家用車を長時間止めてよいオートキャンプ場やRVパークを事前に調べていくものです。

しかし、

「お金を節約したい」
「旅行ルートに止められるところがない」

など身勝手な理由から道の駅で車中泊してしまう人は少なくないようです。

 

このためか、「車中泊禁止」と明確に禁止行為として示している道の駅は多いですし、国土交通省のHPにも

質問

「道の駅」駐車場での車中泊は可能ですか?

回答

「道の駅」は休憩施設であるため、駐車場など公共空間で宿泊目的の利用はご遠慮いただいています。

もちろん、「道の駅」は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間無料で利用できる休憩施設であるので、施設で仮眠していただくことはかまいません。

出典:休憩施設「道の駅」-国土交通省HP

と明記されています。道の駅は休憩施設であって、宿泊施設ではないですからね。

 

車中泊に利用するドライバーが増えることは、その分本来の目的で訪れたドライバーや観光客を遠ざける要因になりかねません。

RVパークやオートキャンプ場を併設する道の駅を事前に調べるなど、道の駅本来の用途を阻害しない利用を心がけましょう。

まとめ

開けた高速道路を走る車たち利用者の声に応えるように、数を増やし、サービスの質を向上させていく「道の駅」。今後私たちが想像もしないような利用の仕方が生まれるかもしれません。

その時を迎えるためにも、今からルールを守って正しく利用していきたいですね。