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「レファレンスサービス」って知ってる?図書館がたった2日でググってもわからない情報を見つけた方法とは

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わからないことを調べるには、まずインターネットで検索。「ググれ」なんて言葉もあるとおり、現代の生活に検索エンジンは欠かせないものですよね。

そんな中、ある「調べもの」についてのツイートが話題になっています。

わからないことが2日で解決した理由とは?話題になっているレファレンスサービスって?

詳しく調べてみました。

ググってもわからなかった答えを2日で見つけられた!?レファレンスサービスとは

図書館で調べものをする男性皆さんにとって「図書館」はどんな場所でしょうか。

たくさん本がある場所?本を無料で借りて読める場所?学校の授業関係で来たことがあったり、静かに勉強できる環境を求めて来たり…。

実は、図書館はただ無料で本を貸し借りするだけの場所じゃないってご存じでしたか?

 

今回のお話は、まだ知らない人も多い(かもしれない)図書館の魅力の1つに感動した人が発信したツイートから始まります。

事の始まりは「妻子原」

事の始まりは、2022年7月4日に事務員Gさん(@ZimuinG)さんが投稿したツイート。

千葉県我孫子市をドライブ中に見かけた「妻子原」という交差点の由来が、帰宅後も毎日気になってしまった事務員Gさん。

その謎を解決したいと考え、さっそくインターネットで検索してみました。しかし、思うような答えを見つけられず、都内の区立図書館へ足をのばすことに。

しかし、専門資料室など図書館の膨大な資料から自力で答えを探してみたものの、見つからず…。

諦めて帰宅しようとしたとき、図書館司書から「なにかお探しですか」と声をかけられたそうです。

そこで、

  • 妻子原を知りたくなった経緯
  • 自力で地名の由来を見つけられなかったこと

を伝えたところ、その図書館司書から

  • この図書館内のどこで調べたか
  • 回答は急いでいるか

を聞かれ、いつか答えがわかれば十分な旨と調べた範囲を伝え、電話番号だけ渡しました。

いつか答えがわかればいいな…と淡い期待を胸に、その日は帰宅したそうです。

たった2日でやってきた「回答」

そんな淡い期待が良い意味で打ち砕かれたのは、図書館を訪れてからわずか2日後のこと。

スマホに謎の03から始まる着信番号を見た事務員Gさんが折り返し電話すると、相手はあの図書館司書でした。

そう、あの自力でたどり着けなかった謎の答えを伝えるために電話してくれたのです。

 

その図書館司書曰く、

  • 地名辞典への掲載はなく、「我孫子市の歴史」という書籍に妻子原を確認できた
  • そこから我孫子市民図書館への問合せや国立国会図書館の資料をネット経由で確認し、由来が判明した
  • さらに詳しく調べるなら我孫子市史研究センター・我孫子市北まちづくり協議会から別の資料の取り寄せも可能

と、方々かなり詳しく調査の上で事務員Gさんが十分に納得できる回答をもってきてくれたようです。

このことに事務員Gさんは

もしかしたら「本当にどうでもいいこと」かもしれないのに、一人の疑問に真摯・誠実に対応・回答してくれたことが嬉しかった
自分がインターネットでえられる情報が氷山の一角だと感じた

と、強く感動。今回のツイート発信につながりました。

「レファレンスサービス」とは?

今回、事務員Gさんが結果的に利用することになったのは「レファレンスサービス」と呼ばれるものです。

レファレンスサービスとは、

図書館利用者が求める情報について、情報そのものの提供や情報へたどり着くためのお手伝いをする図書館サービス

というもの。

関連資料や文献探しのサポート需要の多い質問に対する回答をまとめて準備しておくなど、その活動内容は多岐に渡ります。

基本複数名の図書館員で対応し、多い時は年2000件もの質問がくることも。

資料探しに難航している人に声をかけたり、直接質問を受ける他、電話やメールで対応している図書館もあるようです。

問合せ形態によっては「その地域の住民」など条件付の場合もあるので、利用する際は事前に公式HPで確認しておきましょう。

今回の件について、事務員Gさんの調査に携わった図書館司書から

「全国的にレファレンスサービスの認知度がまだまだ低いのだと感じた。気軽に利用してほしい」

と言伝があったそうです。

インターネットは手軽で便利ですが、いつもより深く確かな情報が必要な時は英知の集う図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

レファレンスサービスは、あくまで調べものや探しものを「お手伝い」してくれるサービスです。

まずは自分で調べて、それでもわからなければお願いするものであることは覚えておきましょう。

また、問合せ内容によっては対応できない場合もあるのでご注意ください。

  • 記録文献に残っていない事柄
  • 現時点で未知の事柄
  • 司書の知識を超えた事柄
  • 主観的な判断が必要な事柄
  • 問題集や宿題の答え
  • 法律問題
  • 人生相談
  • 医療関係
  • 国家機密
  • 個人情報 etc

ちなみに、レファレンスサービスがどういうものなのか?

詳しく知りたい人は、レファレンス協同データベースを利用してみることをオススメします。

レファレンス協同データベースとは、全国の図書館で実際にあった質疑応答が集約されている巨大データベースです。

国立国会図書館と全国の図書館が協同で構築、参加する約700館(2016年時点)で起きた「知りたい」に対する答えが登録されています。

たとえば、「猫」と検索しただけでも

  • 江戸時代の猫に関する文献が知りたい
  • 猫絵について調べたい
  • 猫が麦茶を好む理由を調べたい
  • 源氏物語の猫登場シーンを確認したい
  • 庭で猫がおしっこするのを防ぐ方法が知りたい
  • 「猫も杓子も」のことわざの由来を調べたい
  • 猫の生態についてまとめた資料が知りたい etc

これだけの質問と回答(一部抜粋)を見つけられます。

すでに求める答えがある可能性もあるので、図書館へ行く前に一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

図書館は他にもこんなサービスがある

図書館に並ぶ大量の本棚今回話題になったレファレンスサービスについて、図書館員の方が

「図書館としての基本的なサービスによる対応だったので、反響の大きさに戸惑っている」

とおっしゃていたようです。

 

では、そもそも「図書館の基本的なサービス」って、何があるのでしょうか。

図書館のサービスは、大きく分けて次の2つ。

  1. テクニカルサービス:適切に図書館を運営・維持することで図書館の利用を間接的にサポートするサービス
  2. パブリックサービス:図書館利用者に直接関わる形でサポートするサービス

それぞれのサービスは、こんな業務で構成されています。

テクニカルサービス

  • 資料の収集
  • 資料の組織化
  • 資料の保管

パブリックサービス

  • レファレンスサービス(資料や情報の提供)
  • 資料閲覧・貸出
  • 資料利用に関連する集会活動や施設提供
  • 図書館利用教育
  • アウトリーチサービス

図書館利用教育とは、ざっくり言うと「図書館の使い方や活用方法を教える場」のこと。小学校や中学校の頃に一度は経験した人、多いのではないでしょうか。

 

また、せっかく図書館の使い方を覚えても、図書館へ行く用事がそもそも少ない人もいますよね。

そんな人にも図書館の利用を推し進めるために、図書館の一部スペースでさまざまなイベントが行われることもあります。

読書会や講演会、鑑賞会や研究会など、図書館外に貼られたお知らせを一度は見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。

あわせて積極的なアウトリーチ活動を行うことで、さらに図書館利用者を増やしていく試みを続けています。

アウトリーチ活動とは

図書館を利用できる範囲で生活しているが、なかなか図書館サービスの及ばない層を対象にサービスを広げていく活動のこと。

以下の対象者がいる施設へ直接図書館資料ごと赴く移動図書館などがあげられます。

  • 入院患者
  • 障害者
  • 図書館から遠い場所に住む人
  • 高齢者
  • 子ども(保育園児など)
  • 外国人市民
  • 被災地の住民 etc

こうしてみると、図書館は使い慣れないor行き慣れない人に積極的に門戸を広げていることがわかります。

その理由が、文部科学省のHPに記載されていました。

図書・雑誌・新聞等の出版物は,現代社会における知識と文化の有力な流通手段であり,将来,人類の文化遺産となる。これらの様々な出版物を収集・保存し,様々なサービスを通じてすべての人々に提供する図書館の基本的役割は今後も変わらない。

出典:これからの図書館像-文部科学省HP

図書館は、全ての国民が平等に情報をえられる場所なんですね。

今後、電子媒体など情報を司るものの形が変わっていっても、図書館には変わらずそこにあってほしいものです。

まとめ

本棚に彩られる図書館ホール疑問を調べて解決するって、楽しいですよね。インターネットで検索してもよいですが、より深く、濃い情報を得たい人は、ぜひ図書館へ足を運んでみてください。

あらゆる情報を集め、管理し、利用者にとってベストな形で提供してくれる図書館は、きっとあなたの助けになってくれますよ。